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真智子  六ちゃん、コイツ?

六男   ああ、こいつは梅友巻仁っていうんだ。昔
     からちょっとオツムの方が不自由なかわい
     そうな子でねえ。
     なあ、巻仁!ガキのころからたまたまオマエ
     の家がオレの家の隣っていうだけで、オマエ
     と仲良くしろとか面倒みろとか言われてよ、
     よく遊んでやったよ。なあ? なあって聞い
     ているんだよ!なあ?なんでオレがそんな
     ことしなきゃーいけねえんだよ!

岬  よく晴れた午後の日は時間の許すかぎりお外
   で遊ばねばなりませぬ
   天気がヨイという事はそうゆうことをいうのです
   天気がヨイと命冷めます
   世を哀れむ暇も与えられないそんな世の中だから
   天気がヨイと命醒めます
   ただ流されて生きるという事のいいわけに       それでも天気がヨイと命覚めます
   青空かれこれ35億年ですから
   だからよく晴れた午後の日は時間の許すかぎり
   お外で遊ばねばなりませぬ
   ポッカリしなさい、すこしぐらい汗ばむくらい、
   覚悟しなさい

『相崎システム研究所所長 
 相崎慎也改め
 因果交流電燈研究家・Dr.アンクル・デンキ』

相崎  わたくしという現象は、仮定された有機交流
    電燈のひとつの黒い照明です。風景やみんな
    と一緒にせわしなく点滅しながら、いかにも
    たしかに灯り続ける因果交流電燈のひとつの
    黒い照明。すなわち。

記者  すなわち、それは?

相崎  我、すなわち「まっくろでんき」。

六男   この雑誌も「まっくろでんき」相崎システム
     研究所のことデカデカと載ってるよ。

真智子  なんなんだろうね。あいつ、本当に人の心を
     救おうとでもしてるのかしら?ほんと、何を
     考えてるのか私にはわかんないよ・・・。私
     も行って救ってもらおうかなー・・なんて。

六男   真智子さん!

真智子  冗談よ。そんなの本気にするわけないじゃ
     ない。

六男   いや、ちがうんです!この相崎の隣に写って
     るの、粉雪ちゃんじゃないですか!?

ダンス曲 

 Fuge g moll (THE ECCENTRIC OPERA)

相崎  私はもう一度ここに帰って来た。そして、もう
    一度ここから旅立つことができる。どうだい、
    気分は。粉雪、怯えているのかい?

粉雪  そんなことないわ。貴方となら何処までだって
    行ける。だから、もっと強く抱きしめて。

相崎  そうだ。何処までも行こうな・・・粉雪。